
今月は南アジア〜中東地域のスパイスミックスを中心にご紹介予定です。
この地域は、スパイスの存在が「塩・コショウ」並に溶け込んでいるので、
調理法やブレンドの知識が豊富に詰まっています。
調べれば調べるほど新しい発見があり、日々知的好奇心が暴走しています。
11月のスパイスレシピ第2弾は
「ビリヤニマサラ (बिरयानी मसाला)」です。
本題に入る前に、少しだけビリヤニマサラとは何か
について触れていきます。
ビリヤニそのものについては、今後ビリヤニのレシピを
更新する際に併せてご紹介できればと思っております。
ビリヤニマサラとは
先日のチャイマサラでも触れているので、一部おさらいになりますが、
まず言語の意味から
बिरयानी = ビリヤニ (インド亜大陸のスパイス混ぜご飯)
मसाला = マサラ (香辛料の混合物)
ビリヤニマサラは「ビリヤニ用スパイスミックス」
ということになります。
スパイス使用率
ということで、本日はビリヤニマサラのブレンドレシピをご紹介します。
アイキャッチ画像を見ての通り、今回は結構沢山のスパイスを使用します。
カルダモン | 100% |
コリアンダーシード | 100% |
シナモン | 100% |
ベイリーフ | 100% |
クローブ | 92% |
スターアニス | 92% |
ブラックペッパー | 92% |
ナツメグ | 83% |
フェンネル | 83% |
ブラックカルダモン | 75% |
メース | 75% |
ドライチリ | 67% |
クミンシード | 58% |
ストーンフラワー | 58% |
ターメリック | 42% |
ニゲラ | 42% |
kapok buds | 25% |
キャラウェイ | 17% |
ザクロの種 | 17% |
ジンジャー | 8% |
ドライプラム | 8% |
フェヌグリーク | 8% |
フライドオニオン | 8% |
いやぁ…本当に沢山ありますね。
スパイスを沢山使う分、きちんと計っても
全く同じブレンドを作ることは難しいだろうな…と想像します。
また、全体的に少数派ではありますが、
ドライプラムやザクロの種など、
フルーツをミックスする点が印象的でした。
ナッツやドライフルーツを入れるビリヤニのレシピを
見かけたことがあるので、中東と同様、
甘口炊き込みご飯もメジャーに食べられているのかもしれません。
ガラムマサラとの違いについて私的考察
知名度の高いスパイスミックスと言えば「ガラムマサラ」
が挙げられるかと思いますが、結論から言うと
ハッキリ「ここが違う!」と言える事は分かりませんでした。
なので、以下はあくまで私の推測です。
双方のイメージとしては
ガラムマサラ:家庭用スパイス
ビリヤニマサラ:お店向けスパイス
といった印象を受けています。
インドではガラムマサラは厳密なレシピが無いので
家庭毎にブレンドが異なり、
まさに「おふくろの味」のような立ち位置。
使用するスパイスもスタンダードなものが多いです。
後日改めて更新しますが、
ガラムマサラで重要なスパイスは以下の通り
カルダモン
クローブ
シナモン
クミンシード
ブラックペッパー
一方、ビリヤニマサラはガラムマサラよりも
使用するスパイスの種類と振れ幅が広いです。
重要スパイスの違いとしては、
まずコリアンダーシードとベイリーフ。
ガラムマサラではあったりなかったりでしたが、
ビリヤニマサラではマストスパイスでした。
そして印象的だったのがストーンフラワー(Kalpasi)。
調べ始めるまで聞いた事が無かったのですが、
半数以上のレシピでこれが入っていました。
また、スパイスだけではなく、
ザクロの種やドライプラムといった
フルーツ系のものもブレンドに使用されます。
ガラムマサラのレシピでは滅多に見かけなかったので、
違いを挙げるなら、このスパイスかもしれません。
ビリヤニマサラで重要なスパイスは以下の通り
カルダモン
コリアンダーシード
シナモン
ベイリーフ
クローブ
スターアニス
ブラックペッパー
ということで、以上の考察内容をまとめると
◆ガラムマサラ
・明確なレシピは無い
・家庭毎にブレンドが異なる
・おふくろの味的存在
◆ビリヤニマサラ
・店舗向け
・使用するスパイスの幅が広い
・ストーンフラワー、コリアンダーシード、ベイリーフが重要
・フルーツ系のスパイスを使用することがある
…と、かなり長々なってしまいましたが、
以上を踏まえて作ったビリヤニマサラ第一弾のレシピをば。
(第二弾があるのか…?)
ビリヤニマサラ レシピ
下位の中にも持っているスパイスはあったのですが、
今回は使用率が高かったものから優先的に
フィーリングでブレンドしています。
分量はできるだけ計りやすいようにした…つもりです。

【材料】
・コリアンダーシード…大さじ3
・クミンシード…大さじ1
・ブラックペッパー…大さじ1
・キャラウェイシード…小さじ1
・フェンネルシード…小さじ1
・メース…小さじ1
・ナツメグ…小さじ1
・ターメリック…小さじ1
・カイエンペッパー…小さじ1
・クローブ…15個
・カルダモン…10さや
・ローリエ…2枚
・スターアニス…2個
・ワイルドカルダモン…2個
・シナモンスティック…1本
【作り方】
上記のスパイスをミルで挽いて完成
…ですが、ホールスパイスは乾煎りしてから
挽くことが理想です。
以下、言い訳。笑
ベイリーフ(シナモンリーフ)が家になかったので、
ローリエで代用しています。
キャラウェイは使用率が低い(17%)ですが、
個人的に味が苦手なスパイスなので、
消費のためにどさくさに紛れて混ぜ込みました。(え)
個人的なルールとして、使用率が50%を超えるものは、
できるだけブレンドに入れたい…と思っているのですが、
残念ながらストーンフラワーが入手できず、省いています。
ちゃんと探せば買えるのでしょうか…
実店舗のスパイス屋さんには置いてあるかもしれませんね。
スパイスについて 個人的雑談
これはビリヤニマサラに限った話ではないのですが、
スパイスの利点は、水分量の調整が不要になることだと思っています。
例えば、醤油やみりん、酒などの液体系調味料を使って
炊飯や煮込み料理を作ると、その液体の分量を踏まえて
別途水の量を調整する必要があります。
…が、スパイスでの味付けなら、液体系調味料は不要。
味の調整は塩こしょうのみでOKです。
水の分量調整の必要がなくなるため、
水加減で失敗するリスクが軽減されます。
いかがでしたか
ビリヤニ向けスパイスミックス「ビリヤニマサラ」のご紹介でした。
スパイスをふんだんに盛り込んでブレンドするので、
香りの良さが段違いです。
食べ物は香りで食べている、ということを改めて実感します。
今後更新するブレンドレシピも、できる限り雑学などと一緒に
お届けできればと思っていますが、リサーチが間に合わず
レシピのみ上げる形になるかもしれません。
ゆる更新かもしれませんが、
スパイスの世界を楽しんでいただけると幸いです。